米ドル建ての投資適格社債へ投資できる【LQD】と【VCIT】を比較してみましょう。
投資適格社債投資は株式投資に比べ、リスクを抑えた運用ができます。なぜならば、企業の利益は将来の見通しが立たなくても、固定利付の債券であれば確実な収益が得られる見通しがあるからです。
あ、もちろん倒産したらおじゃんですけどね。それは株式も債券も同じです。投資家が得られる利益の質に大きな違いがあります。
投資適格社債は優良企業が発行する債券なのでデフォルトする可能性は低いです。その分、国債金利に上乗せできるスプレッドは僅かですが、低金利な今の時代には貴重な収益の機会となります。
【LQD】【VCIT】投資適格社債の概要
ティッカー | LQD | VCIT |
名前 | 投資適格社債ETF | 中期社債ETF |
インデックス名 | Markit iBoxx米ドル建てリキッド | ブルームバーグ・バークレイズ |
経費率 | 0.15% | 0.07% |
利回り | 3.18% | 3.22% |
資産額 | 39.45B$ | 19.97B$ |
デュレーション | 8.43年 | 6.44年 |
平均残存期間 | 12.45年 | 7.50年 |
まず、経費率はVCITに軍配が上がります。一方、資産額はLQDが上回りました。デュレーションに関してはVCITが低いので金利に対するリスクは低いですね。そして金利リスクの割に利回りは同等でした。
【LQD】【VCIT】投資適格社債の中身の違い
LQDとVCITの信用格付け
格付 | LQD | VCIT |
AAA | 3.18% | 1.86% |
AA | 10.69% | 7.08% |
A | 39.48% | 35.49% |
BBB | 46.6% | 55.57% |
BB | 0.05% | 0% |
概要でもわかりましたが、インデックスが違うので内容はかなり異なります。格付けで見れば全体的にLQDが高いようです。企業の信用力が高いほど、スプレッドは低くなりますが、値動きが安定します。
LQDとVCITの残存期間
残存期間(年) | LQD | VCIT |
平均 | 12.45年 | 7.5年 |
1~3 | 0.96% | 0% |
3~5 | 22.3% | 0.04% |
5~7 | 14.57% | 38.23% |
7~10 | 25.13% | 58.32% |
10~15 | 3.23% | 3.01% |
15~20 | 7.18% | 0% |
20~30 | 23.92% | 0.26% |
30~ | 2.72% | 0.14% |
LQDは残存期間に縛りがないので幅広く分布していますね。3~5年未満物・20年超物も20%以上含まれていますね。
VCLTは10年未満が多くを占める中期債券で構成されます。
このような結果から平均残存期間はVCLTがより短いので、金利リスクが低い結果になっています。
【LQD】【VCIT】投資適格社債のパフォーマンス
これは価格推移です。あまり値動きに違いはありませんが、VCITがより小さいように見えますね。経費率の差も大したことはないのかもしれませんね。
LQDとVCITの5年間リスク・リターン
LQD | VCIT | |
標準偏差 | 4.85 | 4.15 |
リターン | 3.29 | 3.3 |
シャープレシオ | 0.64 | 0.74 |
ソルティノレシオ | 0.99 | 1.15 |
- 標準偏差:値動きの大きさ
- シャープレシオ:値動きに対する投資効率
- ソルティノレシオ:下方リスクに対する投資効率
LQDは格付が高くVCITは残存期間が短いですが、結果としてすべての項目でVCITがLQDを上回っています。VCITはリスクリターンのバランスに優れていることを示しています。
【LQD】【VCIT】投資適格社債の所感
ほどほどリスク、ほどほどリターンが同居した投資対象として投資適格社債ETFのLQDとVCITを比較してみました。全体観を確認する為に投資適格社債の米国債とのスプレッドを眺めてみましょう。
これはそれぞれの格付社債の米国長期金利差の推移です。つまり、社債投資における上乗せ利回りの大きさを示しています。〇〇ショックと呼ばれるような金融不安がささやかれた時にこのスプレッドは拡大し、社債が売られていることがわかります。
本記事冒頭では低金利時代において上乗せ利回りを得るのに社債投資は有効だ、と書きましたが現状は十分な利回りを投資家が得られていないかもしれませんね。リスクが低いからと、大きな金額を投じるには旨味が少ないことには注意が必要です。
ともあれ、今回は投資適格社債ETFの比較でしたが、VCITが低コストで景気上昇局面で優れた結果を残していました。ご参考になれば幸いです。


では、また。
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