バリュー株投資とグロース株投資のどちらが利益を出しやすいのかと聞かれれば簡単なのはグロース株投資だと断言します。ですが、割安な資産のリターンはいつか割高な資産のリターンを上回るという本質を忘れてはいけません。バリュー投資こそが賢明な投資方法であり、超過リターンをもたらしてきた長い歴史があります。
バリュー株投資の難しさとは割安に放置されたままどのくらい待てば良いのか判断することです。グロース株はほっといても利益を伸ばし、 投資家はそれに追従します。ですが、バリュー株は人気や季節等により本来価値よりも割安に評価されたまま放置されることが多々あるので投資家の忍耐が試されます。
上図はラッセル3000のバリューインデックスをグロースインデックスで除したものです。右下に垂れていることで最近の10年くらいはバリューがグロースに劣後しており、まさに忍耐が試されていることがわかります。
個別株投資では一時的な不振かどうかを見極めることがバリュー株投資の肝となりますが、インデックス投資であれば、個別銘柄のリスクを排除し、割安株全体への投資を可能とします。インデックス投資であれば、平均的なリターンであれば誰でも得ることが出来る訳です。
今回はバンガード社で取扱がある、3つのインデックスの違いを見てみます。かなりマニアックな世界ですが、一度インデックス若しくはプロバイダ間の違いをはっきりさせてみましょう。もちろん、大型株の違いと中小型株の違いも同様に当てはまります。

バリュー株インデックスの紹介(MGV,VOOV,SPYV,VONV)
プロバイダ毎にインデックスの基準が異なりますが、いかにそれぞれ対応するティッカー・インデックス・プロバイダとバリュー株選定の基準を纏めています。
具体的な数値は割愛していますが、何を根拠にバリューとしているかは十分に参考になると思います。
ティッカー | MGV | VOOV,SPYV | VONV |
インデックス | 米国メガキャップ バリュー | S&P 500バリュー | ラッセル1000 バリュー株 |
プロバイダ | CRSP | SPDJ | RUSSELL |
基準
| • 株価純資産倍率 | • 株価純資産倍率 | 株価純資産倍率 |
• 予想株価収益率 | • 株価収益率 |
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• 過去の株価収益率 | • 株価売上高倍率 |
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• 配当利回り |
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• 株価売上高倍率 |
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入替頻度 | 四半期毎 | 年1回 | 年1回 |
銘柄数 | 154 | 392 | 713 |
経費率 | 0.07% | 0.15%,0.05% | 0.12% |
バリュー株インデックスの採用基準について
バリュー株選定の基準にも様々あり、その数もインデックス毎に異なります。バンガードはバリューやグロースの分類には複数の基準を用いることを推奨していますが基準が多ければリターンの向上に寄与するわけではありません。ですが複数の基準により、強いエクスポージャーを得ることが出来ます。
本質的価値(バリュー)を分類する上では様々な意味での割安がありますが、シンプルに選ぶか、コストで選ぶか、バンガードの言う複数の基準に従うかで迷うことが出来ますね。
バリュー株インデックスのリバランス頻度について
CRSPとSPDJのリバランス頻度は四半期毎です。これもリターンに直結する要素ではありませんが、濃い味の維持に資することになります。
CRSP(Center For Reasearch in Security Prices)の時価総額管理とリバランス
CRSPのリバランスは株式をパケット化し、パケット通信のように隣接するインデックス間で共有させながら、移動することで売買を少なくし、コスト低減を実現しています。
また、CRSPの銘柄入れ換えリバランス日程は、明確なタイミングを予め設定していないことが運用の不透明性と指摘されていますが、これは先取り取引をある程度防止する目的があります。市場で取引する以上は出し抜かれない程度の不透明性は仕方ありません。それでも投資信託に比べ遥かにクリアーです。ETFは毎日内容が開示されているので、粘着すればリバランスにすぐ気付ける一方、投資信託は毎日粘着したとしてもわかりません。
SPDJ・ラッセルの時価総額管理とリバランス
S&P系は年に一度のリバランスを行っており、時価総額区分には、重複するバッファーゾーンを適用しています。
MGV,VOOV,SPYV,VONVの選択
今回はパフォーマンスとか構成銘柄に一切触れないでインデックスの特徴のみを紹介させて頂きました。過去のパフォーマンスにとらわれずにインデックスの違いが腹落ちされれば幸いです。プロバイダの選択であれば私はCRSPが現状頭一つ抜けている印象を受けますが、皆さんの印象は如何だったでしょうか。
尚、CRSPのバリューファクターは大型・中型・小型と大部分(85%)を網羅した、MGV(大型)、VOE(中型)、VBR(小型)、VTV(大中型)のサイズプラスのインデックスもあり、よりどりみどりです。

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