ドル建て新興国債券と現地通貨建て新興国債券の違い

新興国債券 債券投資

債券投資においては大きく分けて2つのリスクがありました。それは発行元の信用リスクの増減と、米国長期金利に対する金利リスクです。主な債券においてはこの2つのリスクで大方の整理が出来ます。

今回は米国外の特に新興国債券と呼ばれ、ドル建てで発行される新興国債券と現地通貨建てで発行される債券の違いについて確認してみます。

債券ETFの選び方(金利リスクと信用リスク)
債券ETFを選択する為に金利リスクと信用リスクから考えてみましょう。債券ETFも多種多様あり、目的・リスク許容度に応じた選択が必要です。
スポンサーリンク

ドル建て新興国債券とはどんな債券か?

債券の発行元は新興国ですが、その購入はドルで決済できます。通貨としての信用度が高いドルで決済する為、現地通貨の為替リスク無しに新興国債券のエクスポージャーを得ることが出来ます。つまり、リスクに関しては通常の債券投資の考え方と同様に信用リスクと金利リスクで整理することが出来ます。

但し、円評価で考えればドル円の為替リスクがあることは忘れないで下さい。

 

ドル建て新興国債券のリスク

  • 信用リスク
  • 金利リスク

 

ドル建て新興国債券に投資できるETF

【VWOBの紹介】バンガード®・米ドル建て新興国政府債券ETF
VWOBに投資することで安い経費率でドル建て新興国債券に投資することが出来ます。米国長期金利をベース金利としながら、新興国の信用力からリターンを得ることが出来ます。
【EMBの紹介】iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF
EMBに投資することで新興国のドル建て債券に投資することができます。新興国債券の利回りの高さとはなんなんでしょうか?
スポンサーリンク

現地通貨建て新興国債券とはどんな債券か?

国債の発行元は新興国です。そしてその国債の購入は現地通貨の両替が必要です。つまり、現地通貨建て新興国債券の価格変動要因は新興国通貨の為替リスクと信用リスクで整理しなければいけません。いわゆる長期金利とは直接的な影響は無く、現地の政策金利やインフレ率、経済成長率により現地通貨の強さ、債券利回りが決定します。一般的には為替リスクが発生する現地通貨建て新興国債券はドル建て新興国債券に比べ利回りが高いです。これは当然、投資家が利回りの高さ分の新興国通貨のリスクを負っていることを意味します。

新興国債券においても利回りが高ければそれなりのリスクが潜んでいることを忘れないで下さい。

 

現地通貨建て新興国債券のリスク

  • 為替リスク
  • 信用リスク

 

現地通貨建て債券に投資できるETF

【LEMBの紹介】iシェアーズ J.P.モルガン 現地通貨建てエマージング・マーケット債券 ETF
LEMBに投資することで最もリスクの高い債券の一角に投資することが出来ます。新興国株式よりもリスクは低いですが、米国株並みの値動きです。
【ELDの紹介】ウィズダムツリー 新興国現地通貨建債券ファンド
ELDに投資することで新興国の現地通貨建て債券に投資することが出来ます。このELDはインデックス運用ではなくアクティブ運用されていることが大きな特徴です。
【1566の紹介】上場新興国債インデックスETF
1566-上場新興国債インデックスETFの紹介を致します。新興国債券へ投資する資産分散先の一つの候補としてはいかがでしょうか?ですが安定して高い分配金が得られますが、あまり突っ込むと火傷をしてしまうかもしれません。
スポンサーリンク

ドル建て債券と現地通貨建て債券の違い

リスクの片足が金利リスクにあるのか、現地通貨の為替リスクにあるのかが最大の違いということになります。どちらかの選択をする際には長期金利の変動にギャンブルするか、若しくは現地通貨の変動にギャンブルするかになります。ただし、新興国の信用力の変動に対してはどちらも同じ影響を受ける為、例えば新興国の経済環境に不安が出る場合にはどちらも下落することになります。

長期金利の変動も為替変動も予測することは困難です。ですが、価格変動のリスクをある程度限定的にすることでポートフォリオ全体のバランスを整えることができます。株式ほどではないけど、リスクを取って新興国投資を行いたい場合にはドル建て債券と現地通貨建て債券の選択肢が有力になるでしょう。

スポンサーリンク

ドル建て新興国新興国債券と現地通貨建て新興国債券の選択

どちらかを選択する場合のポイントを以下でご紹介します。

  • 債券投資の分散は十分か?
  • ドルが高すぎないか?

なお、新興国の環境は不穏であるほど投資家が利益を得る可能性は高いです。投資家の期待を上回る環境の改善がリターンの源泉となることは株式投資と共通です。今回は新興国投資をするべきか?ではなく、ドル建てと現地通貨建てのどちらにしようか?の選択となります。

債券投資の分散は十分か?

考え方は株式投資と同様です。債券投資においてもまずは分散が十分であるかを考えなくてはいけません。

  • 米国債に偏っていないか?
  • 先進国債券に偏っていないか?
  • リスクは米国長期金利動向に集中していないか?

分散の度合いはリスク許容度や目的により異なります。

 

分散が十分ではない場合

債券ウェイトが低い等の長期金利に直接的な影響を受けるウェイトが低い場合、リスクの高い運用が許容出来るならばドル建て債券をおすすめ致します。ですが、新興国の信用力が低下するような状況では米国長期金利が下落しようとも新興国債券価格が下落することに気をつけて下さい。ベース金利である米国長期金利が下落してもそれ以上に新興国の信用力が低下すればドル建て債券価格は下落します。

ただし、新興国にとっての僥倖は米国の利下げであることは間違いありません。多少のショックがあろうとも長期金利の下落と新興国の信用力の上昇にはある程度の相関を期待しましょう。

ポートフォリオの干渉材ではなく、ドル建て新興国債券投資はあくまでリスクの高い運用になることを忘れないでくださいね。分散が十分ではなく、リスクの高い運用が出来ない場合には新興国債券は買うべきではありません。緩衝材には信用力の高い米国国債、もしくは日本の公社債を検討すべきです。リスクオフの際には円高が進行し易い為、あらゆるドル建て債券は為替面で円に対して安くなります。

 

分散が十分である場合

十分な分散が出来ている、もしくは分散が不要であると考えた場合には現地通貨建て新興国債券への投資をご検討されたら如何でしょうか。コアと切り離したサテライト運用の一環ということです。現地通貨建ての新興国債券の価格変動のリスクは大きく分けると「発行元の信用力」、「為替変動リスク」なので、高い分配金利回りを得つつ、キャピタルゲインを狙うことが出来ます。

ただし、購入のタイミングは通貨の下落ではなく、発行元の信用力に絞ることをおすすめ致します。為替変動を予測できるならば、FXの運用がよりハイリスク・ハイリターンですからね。

 

ドルが高すぎないか?

基軸通貨であるドルが強いということは通貨に対して商品が相対的に弱くなっている状況を示します。技術が無く一次産品に大きく依存するようなモノカルチャーな新興国はきっと苦しんでいるはずです。

なのでドルが高く、ドル転することが躊躇われる状況では現地通貨建て債券が面白いかもしれません。円で高いドルを買いますが、すぐにその高いドルで安い新興国通貨を買うイメージです。新興国債券であってもドル建てであればドルを保有している側面がありますからね。逆に言えばドルが安ければそれはドルを買うチャンスとなる訳で、ドル建て新興国債券の旨味があると言えます。

では、今はドルが高いでしょうか?通貨ETFで直近の値動きをチャートで見てみましょう。これらは通貨連動型ETFです。値動きが通貨の強さとそのまま連動します。ちなみに将来の値動きをチャートで判断するのは困難だと私は思っていますけどね。今の20ドルと昨年の20ドルは同じ価値でありません。ファンダメンダルの変化もあればリスクの大きさの変化もありますからね。

 

CEW:新興国市場全体の通貨の米ドルに対する強さを示します。

finviz dynamic chart for  CEW

USDU:ドルインデックス的ななにか。

finviz dynamic chart for  USDU

 

スポンサーリンク

新興国債券の所感

ここまで、価格変動要因について分けて考えてみましたが、忘れてはいけない要因の一つが需給です。もし、束の間にでも新興国債券を買いたい人がいなくなった場合、暴落する可能性がある資産クラスであることは忘れてはいけません。リスクの高い投資先であるからこそ逃げ足の速いお金も多いということです。もしくは想定以上のボラティリティに見舞われた場合でも需給を悪化させます。

そもそも、こうやって新興国債券を選択できるようになったことがすでに門戸が広がっていることを示していますからね。誰でも売買できるということはリスクが上昇する想定外を感じるお金も増えていることでしょう。

最後に、新興国債券は新興国投資の有力な手段の一つでした。株式投資ほどのリスクは負えない場合など、是非ご検討如何でしょうか。

コメント