バンガードの提唱する「日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則(全文)」の一つに投資対象のコストの最小化があります。バンガードは個人投資家が自身でコントロールできることに注力するべきと我々にアドバイスしており、コストはその最たるものの一つです。政治の行方や景気のうねり、株価の上下などに気を揉むなと、そう言ってます。
そして、バンガードは個人投資家が目標を明確にし、バランス良く、低コストで、規律ある運用を実践するのはインデックスファンドかETFを用いたインデックス投資のアプローチが適切であると推奨しています。
そんなバンガードが運用している「VIG」と「VYM」について比較してみましょう。
「VIG」と「VYM」のインデックスの比較
VIGの概要
ティッカー VIG
名前 米国増配株式
ベンチマーク NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス
サイズ 大型
VIGの特徴は長期的なインカム・キャピタルゲインの成長が期待できる株式に投資することが出来ます。
VIGのインデックス構築メソドロジー
- 米国大型株の内、10年以上連続した増配実績を持つ企業
- 増配の可能性が低い銘柄は除外
- REITは除外
- リバランスは年1回
- ウェイト方式は時価総額加重
VYMの概要
ティッカー VYM
名前 米国高配当株式
ベンチマーク FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス
サイズ 大型株
VYMの特徴は現状のインカム水準が高く、潜在的なキャピタルゲインの増加が見込まれる株式に投資することが出来ます。
VYMのインデックス構築メソドロジー
- 米国有配株の内、平均以上の配当利回りを有する株式
- REITは除外
- リバランスは年1回
- ウェイト方式は時価総額加重
VIGとVYMの共通点
- 構成銘柄は米国大型有配株
- 資産総額がだいたい30B$ぐらい
- リバランスは年1回
- ウェイト方式は時価総額加重
VIGとVYMは共通点が多いですよね。同じ配当ETFに所属するのでそんなもんでしょう。
VIGとVYMの相違点
それは配当株の内でも、連続増配実績があった株式で構成されるVIGか、現状のインカム水準が高い株式で構成されるVYMか、ということです。VIGはインカムの成長を期待し、VYMは高いインカム水準ながらも、キャピタルゲインを得ることが基本的なスタンスになります。
案外、勘違いすることも多いと思いますが、VYMはいわゆる高配当株戦略とは若干、趣が異なります。ダウの犬戦略に代表される、キャピタルゲイン狙いだと云うことです。ゆえに、VYMは他の高配当株インデックスとも少し異なる値動きをします。HDVやDHSに比べ市場平均に近い動きをするでしょう。
ですがそれはVYMがインデックスとして優れているわけではなく、VYMは高配当インデックスとしての特徴が薄いからだとあえて強調しておきたいと思います。
VIGとVYMを横並びで比較してみよう
インデックスの共通点と相違点を比較してみましたが、ETFのもう少し細かいところも比較してみようと思います。
VIGとVYMの基本情報
VIGもVYMも配当ETFですが、S&P500もついでに比較しましょう。
総経費率も資産額も平均出来高も平均スプレッドも多少の差はありますがいずれもETFとしてなんの不安もありません。というよりもどれも100億ドルを超える超えるモンスターETFです。
VIGとVYMの株価指標と成長率
株価指標を見てみればVIGはVYMに比べ利益や資産キャッシュフローなどが投資家から割高に評価されていることがわかります。しかも成長株も含めた市場平均よりも随分高いですね。同じ配当株ETFでもVIGとVYMはそこが大きく異なります。
成長率に関してはVIGはVYMに比べ予測も過去も概ねVIGが上回っています。増配実績が10年あることと利回りが高いということで、有配株の中でも割高・割安株の違いがあることがわかりますね。
VIGとVYMの違いがもたらすエクスポージャー
どちらのリターンが優れているかはどの期間で切り取るのかの問題であり、将来がどのような期間になるかを見通せない以上はあまり意味がありません。だってVIGもVYMも低コストで市場に連動するインデックスですからね。同じ米国株であると云う程度の誤差だと思っています。
ですが、投資対象の特徴はできる限り、把握することは大事なことだと思います。インカムの成長を期待したい場合はVIGに投資し、キャピタルゲインを期待したい場合にVYMへ素直に投資することをお勧め致します。是非、目的にあったインデックスを選択してください。
また、高配当株投資はVYMではなくHDVやDHSだったり、もしくは好配当のDVYの利用をお勧め致します。VYMはクオリティ株投資についてはDGRWがより強いクオリティ特性を有しています。繰り返しますが、VIGとVYMは割高有配株と割安有配株への投資を行えるETFということです。
コメント
いつも拝見させていただいております。VIGとVYMのメソトロジーの表記が逆になっておりますでしょうか。
いつもありがとうございます。早速、修正させて頂きました。ご指摘頂き助かります。また何かあればじゃんじゃん言って下さい!