日本人は昔からなんとなく高配当が好きな民族です。
今回記事にするPFFはまさに高配当利回りの代名詞とも言えるETFです。
PFFは株式と債券の両方の性質を併せ持ち、安定的なインカムが期待できます。分散投資先の一つとして非常に有望です。何故高配当なのか、何故ボラリティが低いのかしっかり確認しましょう。
優先株式とはざっくり言えば企業の債務である債券よりもリスクが高く、株式よりかはリスクが低い証券ということです。ここでいうリスクとは投資家が回収出来るかどうかです。
米国優先株式ETF PFFの概要
ティッカー PFF
ベンチマーク S&P 米国優先株式インデックス
経費率 0.47%
bet 0.12
標準偏差(3年間)4.26%
優先株式とは決められた一定の配当が支払われる株式です。また、議決権を持たない代わりに配当や何かあった場合の残余資産の支払いが普通株式よりも優先して支払われます。なので通常の株式や社債よりも高い配当で設定されます。この一定で高い配当が債券的性質の所以となります。
優先株式の発行は企業が増資による資金調達の一つの選択肢です。業績に伴わない配当なので企業としても使いやすい側面もあります。
PFFの特徴
- 残念ながら株価の伸長は期待できません。
- 配当はここ10年微減です。低金利政策の影響かな?
- 利回りは安定して約5.6%ぐらいです。
- 経費率は0.47%と少し高めです。
PFFの実績(株価の推移)
見事に株価は40ドル弱をウロウロしています。ちなみにこの値動きのまったりさは総合社債ETFであるLQDよりも低いです。なおLQDの利回りは3.3%です。

この値動きのまったりさは債券的性質とは異なる所に原因があります。デフォルトのリスクが無い状況に限りますが、優先株式は債券と異なり償還期限がありません、また株式と異なり配当の支払金額は業績にも影響を受けません。なのでどんなに今後長く配当を受け取ったとしても金利の影響を受けづらいのです。
リーマン・ショック時は金融機関の連鎖倒産も含め凄まじい金融収縮が発生しました。債権回収懸念が発生したのでPFFの暴落はひどいものでした。今後も、リーマンショック並みの景気後退が無い限り、あそこまでの大暴落は無いと楽観視しております。まぁ、トランプ政権下で金融規制は解除されるようなのでいつかは再び銀行不安のような金融危機も起こるでしょうけどねw
PFFのパフォーマンスについて
*上記は税引き前の配当再投資とした場合です。
配当再投資とした場合を見ると随分印象が変わりますね。10年で1.5倍ですね。しっかりと、資産形成が出来ていることが確認出来ます。ですが、このパフォーマンスの礎は配当だけで、しかも増配をしていないことが債券的な性質の限界だと思います。
7%の増配が10年続けばそれだけで配当金は2倍になります。PFFに通常の株式ほどの過度な期待はしてはいけません。
まさに債券と株式の期待リターンとボラリティが中間くらいですね。

PFFの考察
優先株式は業績を伴わないで一定の配当を出すことから、性質は債券に近いと考えて良いと思います。しかし、LQDよりも配当が高いのに値動きがよりまったりしていることにはリスクがあることを示します。PFFは債券と異なり会社の債務ではないため、回収懸念がある場合に社債よりもリスクがずっと大きいのです。何かあった時に回収できない債権ですからね。
通常時は債券的性質もあり、金利変動の影響を強く受けます。つまり、今後の利上げ局面においてはPFFの利回りも上昇し、株価が低迷すると考えられます。配当金は微増すると思いますけどね。
私は高配当・連続増配ETFへ主に投資を行っていますが、実はPFFも購入してます。たくさん購入する予定はありませんが、安くなったら買うスタンスです。金利上昇のリスクはJPMで補っています。
毎月分配型ETFについて
PFFは毎月分配型ETFですが、毎月分配型投信の良し悪しについて考えてみます。
かつて、日本の金融商品として毎月分配金がとても流行りました。定年退職された方に対して、高利回り商品として販売されていたのです。退職者たちは退職金でその商品を買い、毎月口座に支払われる配当金を見て喜んでいたそうです。
これだけなら問題は無いのです。
しかし、悪質な点は、その商品の運用成績が振るわない場合は元本の一部を取り崩し、分配金の支払を継続したことです。振込口座しか見ない人たちは元本が取り崩され続けていることに気付かず、自分達の資産が大きく毀損していることにも気付けませんでした。そして、見た目上の利回りが高いことから経費率にも関心を持ちませんでした。
2000万円分購入し、毎月10万円振り込まれれば、リッチな気分になれたのです。
- 購入手数料は1.6%。(2000万円分を買った瞬間に32万円)
- 経費率は年率1.3%。(2000万円分で毎年26万年)
10年が経過し、基準価額は30%下落し、配当も75%下落。。
20年前から配当金を再投資して運用をしてもわずかに1.5倍ほど。年率にして2.7%ですね。他に良い商品はたくさんありました。

この実例はかつて、5兆円もの資産規模を誇った投資信託です。
2000万円の購入が25万回ですね。まさに怪物ファンド。
ですが、今や6000億円ぐらいしかありません。悲惨ですね。
そもそもが、誤ったインデックスに投資してしまうことで悲惨なことになってしまうのですね。また、ETFであれば運用益しか配当金を支払えない為、無理くり配当金を出すようなことはありません。わかりやすいですね。

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