VCLT・SPLBに投資することで満期が10年を超える米国優良企業の長期社債に投資することが出来ます。投資適格な社債なので信用力が高く、償還までの期限が長いことが特徴である長期社債は高利回りを実現しています。
債券を利回りだけで選んでは期待する役割を果たさないかもしれないことに注意が必要です。利回りの高さから注目されることが多いですが、社債は経営環境により債券価格が上下します。つまり、株式よりは緩慢ですが、国債と異なり景気に左右される債券であることが重要です。
【VCLT・SPLB】米国長期社債ETFの概要
ティッカー | VCLT | SPLB |
名前 | 米国長期社債ETF | |
インデックス | ブルームバーグ・バークレイズ 米国社債(10年超)インデックス | |
経費率 | 0.07% | 0.07% |
資産額 | 2.32B$ | 335.22M$ |
1日平均取引金額 | 22.92M$ | 4.29M$ |
デュレーション | 13.43年 | 13.31年 |
平均残存期間 | 23.64年 | 23.78年 |
平均利回り | 4.20% | 4.42% |
引用:ETF.com
米国の長期社債のインデックスに投資するのに経費率が0.07%しかかかりません。ちょっと世の中便利すぎじゃないですかね。この低燃費で長期優良社債への分散が可能になるのは脱帽です。
長期債券の特徴は4%を超える利回りの高さと、デュレーションの大きさです。VCLT・SPLBは13超なので米国長期金利が1%下落すると価格が約13%下がることを示しています。償還までの期間が長く、金利の影響を長く受ける為、金利リスクが大きくなります。
ただし、長期国債ETFであるVGLT・SPTLのデュレーションは17を超える為、社債ETFは国債ETFに比べ金利リスクが小さいことがわかります。

【VCLT】米国長期社債ETFの直近パフォーマンス
同じインデックスなのでVCLTを取り上げます。
【VCLT・SPLB】米国長期社債ETFの長期パフォーマンス
設定が古いSPLBとAGGを比較します。総合債券であるAGGと長期社債SPLBを比較すれば、SPLBは値動きが大きいことがわかりますね。そして、リターンも大きいです。償還期限が長くより大きな金利リスクを引き受けたSPLBのリターンが結果論ですが良かったことを示しています。これは企業にとって良い経済環境が続いた結果であり、もし、景気後退があれば結果が逆であった可能性があったことは投資する前に知っておくべきことです。
企業の発行する債券に投資する以上は景気に対する順張り投資と心得ましょう。株式よりかはまったりしていますけどね。

長期社債投資のリスク
そもそも社債投資とは国債投資に会社の信用プレミアム(利回り)を乗っけた投資です。一般的に景気が過熱し、金利が上昇しても会社の信用力が向上すれば社債価格は上昇し、投資家は利益を得ることができます。企業の経営環境が良くなる程、社債投資のリターンが得られるということです。
景気後退をヘッジする為に投資する国債投資と社債投資は区別をしなければいけません。利回りだけで債券を選んでは意図しないポートフォリオになる可能性があります。景気後退に対するエクスポージャーはしっかりと国債で得るようにしましょう。
長期社債のリスクを知る為に20年物投資適格社債と10年物国債の利回り長期チャートをご覧下さい。
これは利回り推移です。なので利回りが上がれば債券価格は下落し、利回りが下がれば債券価格が上昇することに注意して下さい。そしてグレー部分が景気後退局面です。
青線の長期社債はグレー部で利回りが上昇するケースが多く、赤線の長期国債はグレー部で漏れなく利回りが下落していたことがわかります。何度も繰り返しますが、社債投資と国債投資では期待役割が違うことに注意して下さい。
そして、会社の信用リスクが低下するリセッションこそが社債投資において欲の皮が突っ張った投資タイミングになります。残念ながらVCLT・SPLBは2009年の設定なのでリセッション終了後の値動きしかわかりませんけどね。
ですが、上図を見れば投資適格長期社債利回りの上昇を見れば暴落していることは間違いありません。
もし、ここまでアクロバティックな動きを求めていなくて、同じ社債ETFを探しているならば、中期社債ETF-VCITへの投資をお勧め致します。

【VCLT・SPLB】米国長期社債ETFの所感
社債は利回りが高く、残存期間が長ければさらに利回りが高くなる為、長期社債ETFであるVCLT・SPLBの利回りは非常に魅力的に見えてしまいます。債券だから安心だと飛びついたところで、デュレーションが13もあって、株式の暴落と共に社債も暴落したらちょっとしたパニックになるかもしれません。
投資する前に長期社債の特徴をよく知って頂けたら幸いです。長期社債の本当の旨味はパニックになって売りに出た時にあることが重要なんですね。債券投資だからと油断せずに、しっかりと資金管理をすることが肝要です。

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