新興国企業のクオリティに対する代替アプローチとしてウィズダムツリーが非常に興味深いインデックスを投資家に提供しています。今回は新興国企業を政府系企業と非政府系企業に分けることでどのようにエクスポージャーに違いが出るかを紹介致します。
なお、ウィズダムツリーは政府に依る持分比率が20%を超える場合を政府系企業としています。
新興国企業における非政府系企業のエクスポージャー
比較には伝統的な新興国インデックスである MSCIエマージングマーケッツ・インデックス(MSCI Emerging Markets Index (MXEF:以下EEM)を用いています。
非政府系企業(Non-SOE)と政府系企業(SOE)の2つに分けた所、政府系のエクスポージャーは73%でした。そして非政府系のエクスポージャーは設定以来、年率3%強上回っていました。というよりも、政府系企業のリターンは僅かであり、非政府系企業のエクスポージャーが有意であったことを示しています。
まぁ、たった3年の期間ですが新興国の新興国らしくない成長分野という点では直近で十分なのかもしれないです。
非政府系企業のクオリティ・ファクター
結論から言えばウィズダムツリーは、非政府企業はROEが高い事が超過リターンに寄与したと説明しています。ROEは決して万能な指標ではありませんが、その傾向を確認してみましょう。
まず、カテゴリーとして新興国株式をROEにより5つにクラス分けをしました。その結果、ウィズダムツリーの非政府系インデックスはEEMに対して結果的に、高ROE企業をオーバーウェイトし、低ROEはアンダーウェイトしています。
その結果、2017年度の好調だった新興国株式のリターンを10%程超過しています。一概に高ROEが高リターンだったとは言えませんが、非政府企業のエクスポージャーはROEを改善させ超過リターンに寄与したと言えるのではないでしょうか。
政府系企業と非政府系企業のセクター・エクスポージャー
政府系企業は金融・エネルギー・電気通信セクターの比率が高い為、非政府系企業のエクスポージャーを高めるにはこれらのセクター比率をアンダーウェイトすることで簡単に得られます。また、非政府系企業は景気循環に対して敏感な企業が中心となる為に上記結果となったのかもしれません。
ですが、特に新興国企業においては政府系企業を除外し、非政府系企業に投資することで、株主資本を効率的に扱える企業へ投資することが長期投資のリターンの源泉と成るかもしれないですね。 株主のプレッシャーも違うはずです。
非政府系企業の新興国へ投資できるETF
新興国全体の非政府系企業へ投資できるのが「XSOE」です。網羅的なインデックスと共に運用し、非政府系企業を任意の割合でオーバーウェイトするような使い方もありだと思います。また、同様に中国株式市場の中でも非政府系企業に絞った「CXSE」もあります。


コメント