株式投資は経済の季節により投資家から選好されるセクターが異なります。なぜ、このセクターが今まで買われてきたのか、経済の季節と合わせて考えてみれば相場の理解も進み、今後のリターンの改善に結ばせることが出来るかもしれないです。知らんけど。
セクターローテーション戦略とは
本来のセクター戦略は、景気や金利の環境により投資家から選好されるセクターが異なることから、分散する目的でセクター間の偏りを無くす為のものです。
景気が悪化したからといって、またはデフレ化しそうだからといってポートフォリオ全体が沈んでしまわない為の業種分散です。ハイテク株ばかり、高配当株ばかり集めては特定のリスクに対して極端に弱くなるかもしれないですからね。
セクターETFはバンガードやブラックロックやステートストリートが設定・運用していますが、バンガードのセクターETFを例に紹介致します。
金融セクターETF【VFH】
このセクターは、銀行、抵当・不動産金融、消費者金融、専門金融、投資銀行・証券会社、資産運用会社・資産管理銀行、企業への貸付、保険、金融投資などの業務に従事する企業で構成されています。

ハイテクセクターETF【VGT】
このセクターは、テクノロジー・ソフトウェアおよびサービス、テクノロジー・ハードウェアおよび機器、半導体および半導体製造機器の3 つの分野の企業で構成されています。

工業セクターETF【VIS】
このセクターを構成する企業は、資本財の製造・販売、商業サービス・商業用品の提供または運輸サービスの提供のいずれかを事業の中心に据えています。

消費循環セクターETF【VCR】
このセクターは、自動車、アパレル、レジャー用品、ホテル、レストラン、消費者向け小売業など、景気循環に対し最も敏感な傾向にある製造業およびサービス業の企業で構成されています。

素材セクターETF【VAW】
このセクターは、化学、建設資材、ガラス、紙、林産品の製造業および関連包装製品の製造業、ならびに金属、鉱物、鉱業関連企業および製鉄業など、幅広いコモディティ関連の製造業の企業で構成されています。

エネルギーセクターETF【VDE】
このセクターを構成する企業は、石油等掘削装置・その他エネルギー関連機器の建設またはサービス提供、あるいは石油・ガス製品の探査・開発・販売・精製または輸送のいずれかを事業の中心に据えています。

消費安定セクターETF【VDC】
このセクターは、食品・飲料・タバコの製造業者・流通業者のほか、非耐久家庭用品・パーソナル用品の製造業者など、傾向的にそれほど景気循環に対して敏感でない業種の企業で構成されています。

公益セクターETF【VPU】
このセクターは、電力、ガス、水道企業のほか、独立系発送電事業を行う企業で構成されています。

通信セクターETF【VOX】
このセクターは、主として固定回線、携帯無線、ワイヤレス、広帯域通信、光ファイバー・ケーブルネットワークを通じて通信サービスを提供する企業で構成されています。

ヘルスケアセクターETF【VHT】
このセクターは、ヘルスケア機器およびヘルスケア用品を製造する企業またはヘルスケア関連サービスを提供する企業、医薬品およびバイオテクノロジー製品の研究・開発・製造・マーケティングを主たる業務とする企業で構成されています。

4つの経済の季節
経済には景気の強弱とインフレの強弱に分けた季節があると言われています。ですが、景気の強さと金利の強さは一致しないことから、景気の強さと金利の高さにずれが生じ、経済の季節は4種類あると言われます。
というのも中央銀行は景気の強さを間違いなく確認した後に利上げし、その後、金利高がじわじわと実体経済を蝕み、金利高のまま景気がポキっと折れてしまうからです。そんな時、株価指数はガラガラと崩れ、他の資産価格と共に沈みます。慌てて利下げした所で、金利が安い程度ではお金は回らなくなっています。そして、低金利のうちに景気がまた強くなっていくわけです。
ただし、近年は中央銀行も直接的に金利操作を行うようになっているためか、経済の季節は突然変わることも考えられます。世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオは次の季節は予測出来ないとして、すべての季節で収益を上げられるようなポートフォリオを個人投資家に提案していました。
簡易版を当ブログでも提案してます。

セクターローテーション戦略と経済の季節
経済の季節毎にセクターローテーションを考えてみましょう。
経済の季節 | 経済成長 | 景気後退 |
高インフレ | 工業、素材、消費循環 | エネルギー |
低インフレ | ハイテク、金融 | 消費安定、通信、公益、ヘルスケア |
高インフレの経済は需要が高まり、物価高が発生しています。その際に景気が良ければ作った分だけ物は売れる好況です。一方、通貨の減価が激しく、低成長の経済とはつまり、中央銀行のコントロールから外れてしまう、通貨危機に近いことが考えられます。その際には、エネルギー株が好まれます。オイルショックも根底は通貨への不信任がありますからね。
低インフレの経済は供給が強く、物価は下落しています。景気が良ければテクノロジーというよく分からない付加価値で強気の価格設定を行うことができたり、利上げが始まる前に金融セクターが人気化します。一方、デフレに景気も悪い状況となった場合には、景気のうねりに関係ない地味なセクターが好まれます。
セクターローテーション戦略においては順番よりも、是非、景気の強弱とインフレの強弱も一緒に覚えて下さい。そうすれば、本当の今の季節に気づくことができるかもしれませんね。また、バリュー投資においても資金循環が起こるセクターローテーションはチャンスになりますね。
そして、もちろん考えない場合はセクター間のバランスを考えましょう。本来のセクターローテーション戦略は分散する目的であることは忘れないで下さい。
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